iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
iDeCo(イデコ)とは個人で作る年金制度です。公的年金や企業年金とは別に、毎月一定の金額を積み立て、定期預金、保険、投資信託等で運用する制度です。保険会社の積み立て年金との違いは個人で運用する商品を選ぶということです。
iDeCoの概要
加入資格 日本在住の20歳から60歳までの方は原則どなたでも加入できます。積立金額 月額5000円から1000円単位で上乗せできますが加入者の職業等によって上限が設けられています。
第一号被保険者(自営業) 月々68,000円
第二号被保険者時(会社員)は4パターン
1)勤務先に企業年金が無い場合 月々23,000円
2)企業型確定拠出年金有り、確定給付企業年金等無し月々20,000円
3)企業型確定拠出年金無し、確定給付企業年金等有り月々12,000円
4)企業型確定拠出年金有り、確定給付企業年金等有り月々12,000円
第二号被保険者時(公務員) 月々12,000円
専業主婦(夫) 月々23,000円
iDeCoがなぜ必要なの?
皆様は老後に年金以外の資金がいくら必要かご存知ですか?約3000万円必要だと言われています。これは高齢無職世帯の支出が平均27万円に対して、公的年金等でもらえる収入が約19万円であるからです。この記事をお読みの方が何歳でいくらの貯金があるかは分かりませんが、定年までに個人、企業年金等合わせて3000万円の貯金をする計画はありますでしょうか?私の給料では到底無理です。
私は33歳で貯金がありません。公的年金以外にソニー生命の個人年金等の積み立てで、65歳までに約1000万円は確保しています。残りの2000万円を貯金するとなると、月に約7万5千円貯金しなければなりません。私には到底無理です。なので貯金ではなく、投資によって資金を運用しながら増やそうというのがiDeCoです。実際には掛け金に上限が設けられているので、全額をiDeCoで賄うことは出来ないのですが、大きな助けになってくれることは間違いありません。
iDeCoは投資なので運用の成績によっては資金が減る可能性があります。これは投資の性格上しょうがないことです。重要なのは増える可能性があるということです。老後資金が足りないことは目に見えているので、私は投資を選びます。
iDeCoと保険会社の個人年金の違い
iDECoが運用の成績によって受け取れる額に変動があるのと対して、保険会社の個人年金は受け取れる額がすでに決まっているものが多いです。
受け取れる額が決まっているので安心できるのですが、すでに保険会社の個人年金に加入している方でもiDeCoの加入は検討するべきです。保険会社の個人年金の利率をご存知ですか?年利で1%を超えると相当高いといえます。普通のものでは0.3%程度です。iDeCoの利率は運用成績によって変動しますが、3%から7%に落ち着くのではないかと言われています。これがどれだけ違うかというと、20歳から40年間1万円ずつ積み立てると
年利回り | 掛け金 | 運用益 | 合計 |
1% | 4,800,000万円 | 1,098,915万円 | 5,898,915円 |
3% | 4,800,000万円 | 4,460,595万円 | 9,260,595万円 |
5% | 4,800,000万円 | 10,460,202万円 | 15,260,202円 |
7% | 4,800,000万円 | 26,248,134万円 | 31,048,134万円 |
これだけ違ってくるのです。個人年金をいくつか解約してiDeCoを検討してみませんか?
iDeCo加入のメリット
もともとiDeCoは国の年金システムでは老後の生活資金を賄いきれないことが分かっているので、自分でどうにかしてねって意味合いで始まられました。なのでiDeCoには国がこのシステムを普及させるために大きなメリットを我々に与えてくれています。
掛け金が全額所得控除
iDeCoの最大のメリットは税金を払う金額を抑えられることです。保険料や医療費等が所得控除の対象であるのと同様に、iDeCoの掛け金は全額が所得控除されます。上の表と同様に20歳から40年間1万円を積み立てると、合計で72万円の節税効果があります。実際は年収のアップと同時に掛け金を増額していくと思うので節税額はもっと上がります。
運用中の利益は非課税
こちらも節税です。普通の投資信託や株取引等では利益に対して約20%が課税されます。100万円の利益が出たとき20万円税金で取られてしまうのに対して、税金が0円になります。これは利益が100%運用に回せるので、利益が利益を呼び雪だるま式で増えることになります。複利の力を最大限発揮します。
受け取る時も所得控除の対象になる
60歳を迎えて年金を受け取る時も当然所得控除の対象になります。受け取り方は3つから選ぶことができ、その全てが控除対象です。
分割(年金)受け取り 毎年一定額を受け取る方法です。一定額受け取れることで家計の見通しが立ちやすい受け取り方です。これは「公的年金等控除」の対象となり65歳未満なら毎年70万円まで、65歳以上は120万円までが全額非課税になります。
一括(一時金)受け取り 「退職所得金控除」の対象となります。控除額は加入期間で変動します。加入期間が20年未満なら「40万円✖️加入期間」20年以上なら「800万円+70万円✖️(加入期間ー20年)」になります。
例えば加入期間が10年の場合は40万円✖️10年で400万円まで全額非課税、30年ならば800万円+70万円✖️(30年-20年)で1500万円まで全額非課税となります。
メリットのまとめ
iDeCoのメリットは節税対策です。掛け金は所得控除、運用益も所得控除、受け取る時も公的年金等控除か退職所得金控除の対象になります。国が推し進めるシステムなだけあって節税対策は万全です。同じく積立て運用する「つみたてNISA」もありますが、こちらは掛け金の所得控除が受けられません。60歳まで絶対に解約しないならiDeCoの方が節税効果があります。
つみたてNISAについてはこちらからご覧ください。
iDeCoのデメリット
節税対策に効果を発揮するiDeCoですが、デメリットも存在しますので注意が必要です。
60歳までは原則引き出し不可能
最大のデメリットは60歳まで引き出すことが不可能ということです。もし何かお金が必要になった場合でも、原則的には引き出すことができません。なので余裕資金の中から掛け金を拠出しましょう。5000円から始められる理由はここにあります。
口座開設とその維持に手数料がかかる
口座の開設には最低でも2777円がかかります。運用期間中は口座の維持手数料として月額167円かかります。これは扱う金融機関によってはもっと取られる可能性もあります。iDeCoは長期運用を目的としますので、維持手数料は侮れません。
iDeCoまとめ
お金の運用をするなら最強の節税効果があります。原則として60歳まで引き出すことはできませんが余裕資金での運用ならばiDeCoに勝るものは無いといっても過言ではありません。しかし、iDeCoは投資になります。運用する銘柄を自分で選び、積み立て続けなければなりません。何十年という長期運用なので、含み損を抱える期間もあると思います。含み損を抱えても引き出しは出来ないので注意してください。含み損を耐えきれないと思う方は、途中で引き出せる『つみたてNISA』を選びましょう。
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